臼井昭仁
東京五輪の開催に合わせて、鳥羽水族館(三重県鳥羽市)で、生き物たちが競技を模したパフォーマンスを披露する企画展が人気を集めている。ラッコのバスケットボールや、セイウチの重量挙げなど全8種目。9月20日まで連日、見ることができる。
「TOBAリンピック」と題した今回の企画展は、北京五輪の2008年から五輪ごとに開催している。生き物たちの通常のショーの合間に、このパフォーマンスを加えている。
1日に2回ある「セイウチ ふれあいタイムステージ」。体重600キロのセイウチがしゃぼん玉を飛ばすなどの芸を見せていく途中で、樹脂製のバーベルを口でくわえて持ち上げる。
一方、バイカルアザラシは水中でアーティスティックスイミングのような動きを見せ、アシカがサッカーやバスケのボールを器用に操ったり、トドが高飛び込みをしたりする。
大人気なのはラッコのバスケ。飼育員が手で持ったバケツ付きのリングに水中から跳び上がったラッコが貝殻や玩具をダンクシュートのように入れる。1日に3回披露されるが、水槽の前が来館者でいっぱいになることも珍しくない。
生き物なので「失敗」もご愛敬。6頭のスナメリによるサッカーは、プールに浮かべたボールを頭でつついて動かすが、プール脇に置かれたゴールになかなか入らない。うち1頭は、ボールを尾びれで蹴って入れる技を持つが、目撃できる機会はめったにない。ペンギンの障害物競走では、十数羽のペンギンが一斉にスタートするもののハードルを越えられず、よけて走り抜けてしまうこともある。
広報担当者は「東京五輪は無観客ですが、こちらは観客は大歓迎。水中の生き物にもアスリートのような力があることを知ってもらえるはずです」と話す。
企画展示室では、口に含んだ水を発射して虫を落とすテッポウウオや、100度を超える臭い気体を出して外敵から身を守るミイデラゴミムシなど、特殊な能力を持った生き物約10種も展示している。(臼井昭仁)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル